イラン (1)
サラーフス〜テヘラン
テヘランのバイク屋街でUS$10のイラン製タイヤを買う
2003年9月24日 マリー〜サラーフス 263km TOTAL 16,855km |
国境越え 【みどり日記】 イスラムの国イランへ トルクメニスタン側の国境の村、サラーフスはとても小さな村だった。ホテルも期待できそうにない。時間は少し遅かったけれど、今日国境を越えてしまうことにした。
|
2003年9月25日〜27日 サラーフス〜クーチャン 335km+0km+0km TOTAL 17,190km |
イラン この国はバイクがかなり普及している。走っているのは125ccクラスの小さなバイクばかりだが、町じゅうに小さなバイクショップがたくさんあり、タイヤなどの消耗品がよくストックしてあった。あるバイク屋に入ったところ、フロントに使える3.00-21サイズのイラン製タイヤを発見。値段は90000リアル(約US$11)という安さで売っていた。ただし大きなバイクは普及していないためリヤに使えるサイズはあまり見あたらない。 イランは禁酒の国だが、酒を飲まない僕たちには全然関係なし。代わりにケーキ屋が多く、町を歩いていると1ブロックに一軒はケーキ屋が見つかり甘党の我々は大喜び。中央アジアでは毎日腹一杯のメロンを食べていたが、ここでは毎日腹一杯ケーキが食べられる! 【みどり日記】 イランの食物 町の食堂にあるメニューといったら、カバブやシシリクといった肉の串刺ししか見あたらない。それをパサパサしたパンに挟んだハンバーガーらしきファーストフードもあるけれど、あまりおいしくなかった。 パンは薄くて紙のようなものと、少しふっくらして表面が波打った形のものなどがあった。町にはパン屋さんからのいいにおいが漂っていた。パン屋さんに並ぶ買い物客の列も、イスラムのしきたりにより女性と男性に分かれていた。 ライスは、細長いイラン米。少し臭みはあるけれど塩を入れて焚いているのであまり気にならず、かえってご飯の甘みを感じる。パラパラとしているが意外とおいしい。イランの人はバターをのせて食べるらしい。 ある日、宿のおじさんが私たちに料理を分けてくれた。これが何だかわからないけれど、見ただけで「もう結構です。」と言いたくなるようなものだった。小麦粉を水で練ったようなドロッとしたものの中に挽肉や野菜などが入っている。赤くて油ぎった汁も浮いている。一口食べてみたけれど、とても私たちの口には合いそうになかった。生っぽい感触が嫌なので、とりあえず焼いてみることにした。が、こびり付くだけで全く焼けず、ますますひどくなるばかり。申し訳ないけれど、捨てるしかなかった。 |
2003年9月28日 クーチャン〜アザドシャル 362km TOTAL 17,552km |
アフガン難民 路上で警察の検問があり、パスポートチェックを受けた。日本から走ってきたことを告げると派出所に入れてくれてお茶をいただいた。先日も検問でメロンをもらったのだが、イランの警官はホスピタリティのある人たちばかり。 彼らの写真を撮りたかったのだが、どこの警官も「NO」との返事。ロシアや中央アジアの警官・軍人が喜んで写真に収まってくれたのと対照的だが、統制が末端までしっかり行き届き、警官としての規律が守られている証拠だろう。 警察署の前には停められたバスが滞留していた。なんとアフガニスタンからやってきた人々が大勢バスに乗っているらしい。そこの警官が言うには、彼らはパスポートなし・ビザなしで越境してきたとのこと。戦火をのがれてきた難民だろうか、いったい彼らはどこへ行くのだろう。イランは昔から多くの難民を受け入れてきたと聞いたことがあるので、彼らも悪いようにはされないのだろう。戦火が消え、彼らが早く故郷に帰れる事を願う。 【みどり日記】 アジアハイウェイ イランの道はとても状態が良く、車は時速100キロ以上のスピードで私たちを次々と追い越していく。さすがアジアハイウェイというだけある。
|
2003年9月29日〜30日 アザドシャル〜マフムダバード 346km+17km TOTAL 17,915km |
カスピ海と海の家 幹線道路からはずれカスピ海の海岸に出た。海水浴場の看板を見つけて入って行くと日本とそっくりの黒い砂浜に、日本の海の家そっくりの掘っ建て小屋が並ぶ。ゴミの散らかり具合も日本みたいだ。 海岸沿いにプレハブの小屋が並んでいたので、もしやと思って行ってみるとやはり海水浴客向けの宿泊施設だった。中にはダブルベッドがあり、トイレやシャワー、キッチンや冷蔵庫もあった。それにテレビ、扇風機までついている。バイクは横付けでき、ホテル以上に快適な部屋だ。 「今日の宿はここに決まり!」 150,000リアルという言い値を季節外れという事で80,000リアル(約US$10)にまけてもらう。 浜には季節外れの海水浴客が来ていた。黒いチャドルを身にまとった女の人もいる。彼女たちはどんな格好して泳ぐのだろうか。全身を覆うウエットスーツみたいなものでも着るのかな? しばらく眺めていたら、なんとイラン女性はチャドルを着たまま泳ぎだした。イスラムの戒律は厳しいとはいえ、そんなにまで徹底しているとは。海水浴の時くらい水着になると思っていたのだが...。 【みどり日記】 リアルとトゥマンス カスピ海の魚を食べようとレストランへ入った。サラダとご飯をつけたら117,000リアルもした。宿代が80,000リアルだからそれよりも高い! はじめ一桁間違えたのかと思ってしまった。 |
2003年10月1日 マフムダバード〜テヘラン 221km TOTAL 18,136km |
カスピ海からテヘランへ カスピ海沿岸からテヘランまでは快適なワインディングロードが続いていた。峠を挟んでカスピ海側は湿気が多く山は木々がびっちり生い茂っている。今朝は小雨の中を出発したのだが、いざ峠を越えて内陸側に来ると空が晴れ渡り、空気は乾燥していた。内陸側の山はほとんど木が生えず、岩肌がむき出しになっている。 途中のレストランで鱒の焼き魚、みどりはカスピ海産と思われる魚の串焼きを食べた。レモン汁をかけて食べるが醤油につけて食べたいところ。 川沿いにニジマスの養殖場をよく見かけた。さっき食べたニジマスの焼き魚もここで養殖されたのだろうか。 テヘランの交通事情 テヘランの交通事情はこれまで走ってきた大都市の中でも最悪といっていいほど悪かった。 今までも中南米の都市を走ってきたわけだが、運転マナー最悪といわれたメキシコシティーやサンサルバドールの比ではない。それは交通量の多さもさることながら、信号機がほとんど機能していない事も理由のひとつだろう。信号機の大部分は赤や黄色の点滅信号で、こちら側が黄色の点滅でも交差点を横切るのは命がけ。優先道路など関係なしに先に出た者勝ち、度胸のある者が進めるといった感じだ。ただ、暗黙のルールみたいなものがあって、みんなきわどいところで譲り合っているようだ。そんなルールがまだわからない我々旅行者は何度もヒヤヒヤさせられる。一度は横から来た車に接触されてしまった。数センチの違い、コンマ一秒のタイミングの違いが事故になるような走り方だ。 小さなバイクがゴキブリのようにワサワサ走っている事も走りにくくなる原因で、彼らはすり抜けはもちろん、反対車線を堂々と逆走するので気が抜けない。しかも小さなバイクに三人乗り、四人乗りで! こんな状態なので、走りながらホテルを探すなんて至難の業。町の中を地獄のような交通に翻弄されながら走るが、ホテルが見つからないばかりか、自分達が今どこにいるのかもわからなくなってしまった。陽はもうとっくに暮れ周りは真っ暗。 道ばたにバイクを停め途方に暮れていると、人がわらわら集まってきて、安いホテルの場所を教えてくれた。しかし、親切に説明してくれるのはありがたいのだが、土地勘がまるでない僕たちに 「○○通りを右へ行って、その先の××スクエアを左に曲がって,,,,」 などと言われてもまったく頭に入らない。 そのうち口で説明しても埒があかないと悟った人が小型バイクでホテルまで先導してくれることになった。再び地獄のような道を、すり抜け・逆走を繰り返しながら走り回り、二〜三軒まわってやっと好条件の宿にたどり着くことができた。市街地の中心部に宿代が安くて近くに駐車場があるところなんてここくらいのものだろう。 先導してくれた男性は ホテルや駐車場の受付で料金交渉してくれた上、荷物運びまでしてくれて大変お世話になった。そしてひととおり手続きが終わった後、 「ではイラン旅行楽しんでいって!」 と言って爽やかに去っていった。本当に困っているときの親切ほど身に浸みるものったらないなぁ。 【みどり日記】 騒音の街 今日の運転は最高に怖かった。遠くからテヘランの街を見ると靄がかかっているように見えるが、これは排気ガスのためなのかもしれない。それほど街は渋滞していた。
|
2003年10月2日〜5日 テヘラン 0km TOTAL 18,136km |
テヘランのバイク屋街
ラジ・スクエアから モハマディエン・スクエア付近にバイク部品・用品屋が何十軒も並んでいて、上野のバイク屋街のような雰囲気が漂っていた。但し、店頭に並んでいる物はほとんど国産品。値段は安いけど品質はそれなりだろう。 売られている消耗部品はこの国でよく普及している125ccクラスのものが豊富だが、それ以外となると難しそう。 ここではイラン製の「YAZDタイヤ」を買う。ネガティブ比が低い長距離向きのブロックパターンで、フロント用3.00-21サイズの物が手に入った。価格は一本80,000リアル(約1,200円)と激安。ただ、見つけたのはフロントタイヤだけ。イランは125ccクラスのバイクが多いためリヤに使えそうな太いサイズのタイヤは少なく、あってもモトクロスタイヤばかりでツーリングには使えない。 それからみどり号(ジェベル)のバックミラーがカザフで転倒したときに割れたままだったので、イラン製のミラーを買った。これも二本で18,000リアル(約270円)という安さだ。 安い安いと喜んでいたら、さらにお店の人が冷えたジュースを奢ってくれた。なんて親切なんだ! 3日、金曜日はイランの休日だ。ホテル近辺の商店もほとんどがシャッターを下ろし、交通量も減って道路ががら空き。今日は駐車場でタイヤ交換しようと思ったのだが、なんと駐車場もシャッターが下りているではないか! 今日は諦めて明日出直そう。 4日、駐車場でタイヤを交換していたら、通りかかる人何人にも「イラン製のタイヤはよくないぞ!」 と言われてしまう。駐車場のオヤジには「急ブレーキかけるとバーストするから気を付けてな」 などと言われ、不安を通り越して笑ってしまった。ヤレヤレ(^^; 一応 、4プライレーティングでサイドウォールの厚みもあるから大丈夫!(..と思いたい) アフリカに入る前にもう一度換えるので、スペインまであと6,000km程度もてばいいんだけどね。 【みどり日記】 イランの両替 両替の方法はその国によって違うので、いつも戸惑うところである。 ようこそイランへ! イランへ来て、人々が本当に優しくて親切なことに驚いた。「イスラムの戒律が厳しくて怖い国」とか、「偽造テレカを作るあやしいイラン人」などというイメージを抱いていただけに、そのギャップは大きかった。
|
みどりの食卓
【左】ニジマスのグリル カスピ海からテヘランへ行く途中の川沿いにニジマスの養殖場がたくさんあった。
【左】ラブー 甜菜を砂糖で甘く煮たもの。通りの屋台で買うとトレーに入れて汁をかけてくれる。食べ始めは、トウモロコシの味に少し似ていると思った。 |