モンゴル (3)
7月4日〜7月14日 ウランバートル〜アルバイヘール
野を越え丘を越え川を越え温泉を目指す
7月4日 ウランバートル〜モンゴル・アルタイ・ツアーキャンプ(ブルド) 286km Total 5,416km |
秘湯とモンゴル人少女を探す
今日から6泊7日でウランバートルから西へ500kmほど行ったところの温泉地を目指す。が、今回は温泉だけが目的ではなく、みどりが6年前に来たときに出会ったモンゴル人の少女を探す意味もあった。しかし、出発時点で彼女が住んでいる場所というのはウランバートルから400kmほど行った町という情報だけしかなく、この広いモンゴルで探し出すのはかなり困難が予想された。電話もなければ住所も定かでないということは遊牧民? 【みどり日記】 地方のナーダムに出会った LUN村
草原を走っていたら、人々が大勢集まっている光景に出くわした。きっとナーダムだとピンときた。ナーダムとはモンゴル人のお祭りで、競馬や弓、モンゴル相撲が有名だ。7月上旬に行われ、これが終わると秋が来たと思うそうだ。各村や町ごとでも行われるが、国を挙げてのナーダムはウランバートルで7月11日、12日に行われる。
砂丘の一画にあるこのツーリストキャンプは、夏休みの子供達がしっかりと働いていた。英語を話す礼儀正しい男の子や、素朴で美しい日本語を話す女の子等に世話をしてもらって、心が洗われる思いがした。ゲル一泊一人10$のところを二人で15$にまけてもらった。
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7月5日 モンゴル・アルタイ・ツアーキャンプ(ブルド)〜ホットガイ・モド・ツーリストキャンプ(ツェツェルレグ) 220km Total 5,636km |
ツェツェルレグまで ハラホリンから先は完全に未舗装路となった。未舗装路はやがてアースロードに変わり、草原に車の轍が幾筋も延びている。道標なんて気の利いたものはないので、地図を見ながら大体の方角を見極めながら進む。 【みどり日記】 ホットガイ・モド・ツーリストキャンプ ハラホリンからツェツェルレグまでは新しい道路を建設中で、土を盛った広めの砂利道が所々で造られはじめていた。でも、ガタガタと振動が大きくなって走りづらい。轍のようなアースロードの方がずっと走りやすいと思った。
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7月6日〜7日 ツェツェルレグ〜シベートマンハン・ツーリストキャンプ(ツェンケル温泉) 35km Total 5,671km |
草原の道と遊牧民
ツェツェルレグから南へ2kmほど行ったところで、バイクでは越えられそうにない深い川に行く手を阻まれる。しかし、少し上流へ行ったところに木製の頼りない橋を見つけた。そこは川が数本に分流している所で中州と中州を繋ぐように簡単な橋が連なっているようだ。しかし簡単な橋ゆえに時々川が増水したときに流されるらしく、今は補修工事の途中らしい。 【みどり日記】 モンゴルの道 私は6年前にバイクツアーでモンゴルに来たことがある。その時はただ、ガイドに連れられてはぐれないように後をついていくだけだった。しっかりとした道路もなく、標識もなく、聞こうにも遊牧民の言葉もわからない。こんな地は個人では絶対にツーリングできないと思っていた。 ツェンケル温泉 ガイドブックではジグール温泉と紹介されている場所だが、ジグールとはツーリストキャンプの名前なので、正確にはツェンケル・ホットスプリングスという場所になるらしい。去年からジグールとは別に新しいツーリストキャンプもできた。 シベート・マンハン・ツーリストキャンプ
去年できたばかりのツーリストキャンプ。シベートとマンハンという近くの山の名前をとってつけたそうだ。老舗のジグールの手前隣にあり、料金も手頃なのでこちらに決めた。温泉入浴付き、三食付きで1人25$の言い値を、二人で32$にまけてもらった。現地通貨払いにしたら更に安くなった。結局二人で30000TG(約3000円)。ドル表示でも現地通貨払いを提案してみると、案外安くなるケースが多い。
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7月8日 シベートマンハン〜ホジルト 179km Total 5,850km |
再び川渡り 二日間温泉に浸かってさっぱりしたと思いきや、ツェンヘル村方面への帰り道でまた川渡りをする羽目になる。往路とは別な道を選んだのだが、来るとき通った道よりも川が多い。
【みどり日記】 ホジルト・ツーリストキャンプ モンゴルは空を見るとその場所の天気もわかる。雨雲の下から雨の筋まで見えるくらいだからすごい。そんな怪しい天気を見ながらたどり着いたホジルト村は、村全体の雰囲気もなんだか暗く感じる。温泉地だが療養のための保養地で、近くにサナトリウムもある。医者の診断書を持って温泉に入ると聞いた。なんだか病気が移りそうな気がして、温泉に行くのをやめた。病気といっても腰痛や神経痛などだから問題ないとは思うけれど。
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7月9日 ホジルト〜アルベイヘール 87km Total 5,937km |
【みどり日記】 オトゴーを探せ!
モンゴル人の少女オトゴーと出会ったのは、6年前のバイクツアーで訪れたときだ。彼女は当時12歳で、両親と車でバヤンホンゴル県を旅していた。その後、手紙とメールのやりとりを何度か繰り返した。
やがて、ウランバートルより西400キロのウブルハンガイにいるという事がわかった。調べてみるとウブルハンガイは県の名前で、とても広い地域だ。その中のどの村にいるの? とりあえず私たちは西へ向けて出発することにした。 オトゴーに再会
オトゴーは18歳の美しい女性に成長していた。私に会うと、目を潤ませて再会を喜んでくれた。彼女の家は、なんとゲルだった。町なのでてっきりアパートかなと思っていた。お父さんがポリスで、お母さんも勤めているので、遊牧民ではない。四人兄妹の末っ子で、お兄さんが三人。一番上のお兄さんは、ガンダン寺の僧侶だった。これから独立して、この地に新しいガンダン寺を建てるそうだ。彼の奥さんがアメリカに留学していて、私たちのメールを訳してくれていた。そしてお兄さんの子供が三歳になるアノンゴー。はじめは人見知りしていたが、そのうちカメラを向けるとポーズを取ってくれるまでになついてくれた。
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7月10日 アルベイヘール〜ウランバートル 445km Total 6,382km |
【みどり日記】
オトゴー一家との別れ
お父さんが仕事の休憩時間に戻ってくるのを待って、お昼頃オトゴーの家を出発した。オトゴーとは、ウランバートルのナーダムを一緒に見る約束をしていた。今晩の夜行バスでお兄さんと一緒に来るという。それに先駆けて私たちはウランバートルへ戻ることにしたのだが、結局オトゴーはウランバートルに来れなかった。人数が集まらず、バスが運行されなかったようだ。こんな事なら、もう少しアルバイヘールにいればよかった。もう会えないなんて。後で聞いたところ、オトゴーは泣いていたという。私たちはまたウランバートルで会えると思っていた。とても残念でかなしい。今度いつ会えるだろう。本当にまた会えるのだろうか。
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7月11日〜12日 ウランバートル 0km Total 6,382km |
【みどり日記】
国民的祭典ナーダム ウランバートルで行われるナーダムは、モンゴルの国民的な大行事である。大統領や首相も出席して、テレビ放映もされる。スタジアムで行われる開会式では、民族衣装を着た人が踊ったり、国旗を背負った人がパラシュートで次々と降りてきたりという演出が行われ、まるでオリンピックの開会式のような華々しさだ。スタジアムの入場料は11日は1000tg(約100円)、12日は2000tg(約200円)と比較的安い。開会式、閉会式とモンゴル相撲がここでは見られる。弓はスタジアムの外で無料、競馬は郊外の草原で行われ、これも無料。私たちはバヤサーのガイドでこのお祭りを見て回った。 競馬 12日に5歳馬の競馬を見た。一番人気があるレースがこれで、「5歳馬のレースを見たら、その年1年間は幸せに暮らせる。」と言われているらしい。さらに、出場した馬の汗をさわって頭に付けるといいらしく、競馬場では、馬の汗をさわろうとする人々が殺到していた。私たちも馬の汗をさわることができた。馬に乗るのはまだ幼い子供達。ご苦労様。 スタジアムでモンゴル相撲を見た。暑いし、ずっと座ってお尻も痛くなった。ベスト4からは時間制限がないらしく、史上最長の2時間半という準決勝戦は、ほとほと見ている方も疲れてしまった。客席からも「早くしろ!」のブーイング。周りが次々とペットボトルで座席を叩きはじめた。その盛り上がりに押されて、長い取組もようやく動きが出た。そしてやっと勝負が決まった。決まった瞬間の観客の盛り上がりは最高潮に達し、手にしていたペットボトルを一斉に競技場へ向けて投げ飛ばした。この盛り上がりを直に味わえただけで、待ったかいがあった。弘行も一緒になってペットボトルを叩き、投げ飛ばしていた。
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7月13日〜14日 ウランバートル 0km Total 6,382km |
ウランバートルに松尾さん現れる
ウランバートルに松尾さんが到着したとの情報は本人からのメールや「海外ツーリング情報掲示板」で知らされた。彼も僕らの三週間後の船でロシアに入国。同じくシベリア横断道路の自走を考えていたのだが、パニアのトラブルと、大型バイクにとっては凄まじすぎる悪路に耐えかね、途中から列車にのせてきたそうだ。 彼はすでに世界一周の経験を持っているが、今回は前回走っていなかったシベリア、中央アジア、オーストラリア、アフリカを重点に約2年間かけて回るそうだ。バイクはHONDA ワルキューレ1500。 |
7月15日 ウランバートル〜国境の78km手前 273km Total 6,658km |
オイル交換 ウランバートルを出る前に、日本車を専門に修理している整備工場へ立ち寄る。ここではSJ級のオイルが手に入ったので、オイルパンを借りて自分で交換させてもらった。そしてシベリアではついぞ見かけなかった高圧洗車機があったので綺麗に洗車してもらう。店の名は「NIMONS」。 行き方はウランバートルの国営デパート前からメインストリートを西へ約5km。ロータリーを越えた先に歩道橋があるのでその手前左側にある黄色い建物がお店。スタッフやメカニックは日本へ研修に行ったことのある人が多く、日本語も上手に話す人が多い。 モンゴルでキャンプ モンゴル滞在の最終日、この国では最初で最後のブッシュキャンプをした。モンゴルの田舎ではゲルを利用した宿泊施設がたくさんあったので自分のテントでキャンプする機会がなかったのである。 見渡す限り草原の大地が広がるモンゴルでは隠れる場所がないように思えたが、丘をひとつ越えただけで360度誰もいない大草原が広がっていた。まるで自分たちしか知らないプライベートキャンプ場みたいに。 「翌日になって馬に乗った遊牧民がテントのそばを駆けて行ったけど...」 【みどり日記】 大雨 |
みどりの食卓
【左】アイラグ(馬乳酒) 馬の乳を発酵させたお酒。アルコール分はビール程度(4%くらい)らしい。酸っぱくて馬のにおいがする。甘くない甘酒にヨーグルトを混ぜたような感じだ。 【右】ホルホグ ミルク缶などの鍋に骨付きぶつ切りの羊肉を入れて、焼いた石を入れて煮たモンゴルの郷土料理。 |