ユーラシア・アフリカ仕様 改造日記

'00 SUZUKI DR650SE

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DR650SE ノーマル

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現在のDR650SE(改造中)

 

 2002年4月  ガソリンタンクの大容量化


 ビッグタンクの取り付けに悩む

 航続距離をのばすため、まずはタンクの大容量化に取り組んだ。どのタンクを搭載しようか迷っていたところ、あるショップがアチェルビス製・容量30リッターの"アフリカビッグタンク"を、処分価格34400円で提供できるとのことで即決。確か定価では8万円くらいで売っていたのでかなりお買い得だ。
 専用品じゃないのでボルトオンというわけにはいかないが、これからステーを作成したり、干渉している部分を加工したりする予定。(上の写真はただタンクを載せているだけ)
 大きな干渉部分というのはハンドル周りについているハンドガードやウインカー、右側下部に大きく陣どっでいるオイルクーラーなど。位置をずらそうか、または小型のものに変更しようか悩むところ。

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 ポリタンクはクラックの問題があるようだが、自分の過去の旅でオーストラリアのときXR250Rに23Lのアチェルビスタンク、北米大陸のときは XR650Lに18LのIMSタンク、中南米のときはDR350SEに17Lのアチェルビスタンク、国内では今乗っているXR250に18LのIMSタンク・・・と、いつもポリタンクを使用してきたにも関わらず一度も壊れたことがないので不安はない。
 ただ、鉄タンクよりも壊れやすいのは確かなので、転けないように気をつけるとか、こけてもタンクにかかる衝撃が逃げるようラバーでフローティングマウントするなど工夫すればOK。

 純正リヤキャリア? アルミパニア?

 通常、積載する荷物は30kg以内に抑えるようにしているのだが、このくらいならフレーム補強無しに既製のキャリアで積みきれる。
 しかし、今回は二人旅という事に加え、アフリカという土地柄、ガソリンやスペアパーツ、飲料水・食料など、より多くの荷物を積載する機会が多くなるのが予想される。そうなると既製のキャリアでは役不足になるのは目に見えているので、サイドキャリアとアルミボックスの取り付けを考えている。

08.jpg (29271 バイト) ヘッドライトガード

 飛び石などからヘッドライトを守るためヘッドライトガードを装備。
98年の中南米縦断のときはメキシコへ入ったところでトラックが跳ね上げた石にヒット、新車を買って早々ヘッドライトが割れてしまったという苦い経験が...。
 今回使用したのはXR250R(ME06)用のもの。DRに取り付けようとすると左右のねじ穴の幅が狭かったので車のパンタグラフジャッキをかませて広げた。

 ハンドガード

 道に張り出した木の枝などから手をガード。転倒時、レバーの保護にも役立つのでツーリングマシンの必需品と言っていいかも。

 

 2002年5月  ドイツからアルミボックスを取り寄せる
 アルミボックスはヘプコ&ベッカーバンテッシュツーラテックなどが有名だけど、中でももっとも軽量な「Darr」の製品をチョイス。BMWなど重量級のマシンにつけて転けると潰れそうだけど、軽量な650/250クラスのマシンにはこのほうが向いていると思う。友人夫婦もXLR250Rに装着して世界一周した実績があり、頑丈さは証明済み。

al00.jpg (28659 バイト) ショップのウェブサイトを見てメールで問い合わせたところ、日本への発送もできるとのこと、早速ドイツから船便で送ってもう。値段はボックス本体一個約70ユーロ、四個分の送料約164ユーロ、そして郵便局で受け取るときに関税・消費税などが1700円。(一個当たり日本円換算で約13000円)

 ←こんな大きな箱が郵便にて約三週間で届いた。

 キャリアに装着するためのヒンジ(抜き挿し蝶番)やバックル(パッチン錠)は日本のタキゲンというメーカーのものを使用する予定で、これもウェブ上のカタログから適当なものを探して注文。

 

 2002年6月上旬  リヤキャリアの作成、フレーム補強を依頼
 今日はパリダカやファラオラリーなど世界中のラリーにメカニック及びライダーとして参戦していたT氏のアドバイスを受けながら、アルミボックス用リヤキャリアの製作とフレーム補強、そしてアンダーガード兼ツールボックスの作成を依頼してきた。
 補強はサブフレームの後方三角部分に入れる程度と簡単に考えていたけど、軽量化されているDR650SEはしっかりした補強が要るらしく、メインフレームとサブフレームが繋がっている部分すべて補強を入れる必要があるとのこと。
 一方、ジェベルはフレームが更に細いので、アルミボックスをつけるとなるとDR以上にフレーム補強が重要になるそうな。

 

 2002年7月上旬  フレーム補強の途中経過
 フレーム補強作業の途中経過を見に行ってきた。下の写真の赤い部分が補強箇所である。
 パイプを曲げるときは砂を詰めてバーナーであぶりながら作業するそうだ。なかなかきれいに曲げられており、各部分美しい仕上がり。

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 メインのフレームとシートレールなどが接続されている部分に鉄板を溶接。  サブフレームにT字型のフレームを追加。
 内側にエアクリーナーがあるためボルトで取り外せるようになっている。(DR650SE)

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 DJEBEL250XCのサブフレームは左側にアルミが使われているので、これを鉄製に交換(青い部分)。更にシートレールの後方を支えるためフレームを追加。  アルミボックス取り付け用のフレーム。
motoyutaka02.jpg (25956 バイト) アルミボックスを支えるサイドフレームはこんな治具を作って曲げ加工したそうで、形になるまで何度も試行錯誤したそうだ。
 いとも簡単に作っているように見えても工房の片隅で地道な苦労を重ね上げ作られている。


 

 2002年7月上旬  ガソリンタンク再考
 ガソリンタンクをどうしようか迷っていたが、結局オイルクーラーの移設が不要でボルトオン装着できるIMS製のタンク(18リッター)を使うことにした。
 航続距離は長いにこしたことはないが、燃費22〜24kmX18Lで400kmもあればほとんどのところ大丈夫。無理して大きいタンクをつけるとライディングポジションに悪影響が出たり、転倒したときの破損も心配になるので、無給油区間の長い所だけ予備のポリタンクを併用することに...。

 樹脂タンクの取り付けは、一番クラックの入りやすいステー取り付け部分へ荷重が集中するのを避けるため、タンクとフレームの間にゴムを入れ、タンク自体の重量を面で受け止めるようにすると安心。
樹脂タンクは基本的にレース用部品といわれているが、このように工夫することで長期間、長距離のツーリングでもほとんど問題なく使える。

 購入はIMSのサイトからオンラインで注文。価格は国内のショップの半額程度で、しかもアメリカからの空輸便なのに送料無料。注文してから僅か一週間程度で届いた。

 取り付け作業はゆたかさんがやってくれたのだが、アメリカ製品ゆえに燃料コックの取り付け部分の精度が甘く、密着が悪かったためタンク側を加工してもらった。更に、いざ取り付けようとしたところコックがエンジンに干渉する事が判明したらしい。これはシリンダーヘッドのフィンを少し削って対応。もし自分でやっていたら悩んでしまうところだが、充実した設備とゆたかさんの確かな腕のおかげですんなり取り付けできた。「ゆたかさんご苦労様でした!」

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 18リッターの容量を確保しながらも、スリムな形状なのでライディングポジションに影響しない。  取り付けはボルトオンのはずだったが、実際は切ったり削ったりの加工が必要だった。


 2002年7月上旬  アンダーガード兼ツールボックスの作成
 ゆたかさんはアルミの溶接も上手とのことで、リヤキャリアと同時にアルミ製のアンダーガード兼ツールボックスの作成も依頼した。
 ほとんどお任せで作ってもらったのだが、これがかなり良い出来で感激。

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 容量は約3リッター。
予備のオイルやすべての工具が収まる。
 左右の張り出しも小さいので、ガレ場の走行テストではほとんど障害物にヒットすることはなかった。           

 普通、アンダーガードを取り付けると風通しが悪くなりエンジンがヒート気味になる傾向があるのだが、このツールボックス付きアンダーガードは前後に長い流線型なので空力特性にすぐれ、エンジンに流れる風を妨げない形状に仕上がっている。

 

 2002年7月下旬  アルミボックスの取り付け
 さて、本命のアルミボックスの取り付けであるが、海外ツーリングの先輩よりアドバイスをいただき、ボックスの後方にドアヒンジ(抜き挿し蝶番)を使用し、前方には大型のパッチン錠(工業用語で"ファスナー"という)を使用。ワンタッチで脱着できる仕組みだ。

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 キャリアへの取り付けは後方にドア用の「抜き挿し蝶番」を使用。  前方は頑丈で大型の「パッチン錠」を使用。蝶番と併せてワンタッチでボックスのつけ外しができる。 
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 ピン径6oのステンレス製抜き挿し蝶番。  パッチン錠は鍵付き。
 同一キーのものを特注したので二台のバイク左右とも同じキーで開錠する事ができる。
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 ボックスの上面とシート、リヤキャリアが同じ高さになるように仕上げてもらった。  容量は片側31リッター。蓋にパッキンがついており、豪雨の中を走っても浸水は無し。

 

 2002年8月  改造はまだまだ続く
 この後もウインドスクリーンの取り付けなど、出発まで細かい改良・調整が続く予定。


 

 マシン作成に協力していただいた方々

 ゆたかさん
 カントリーガレージ

motoyutaka.jpg (78319 バイト) フレーム補強やキャリア作成の作業をしていただいたのは、ゆたかさんという溶接の上手なバイクメカニックの方だ。彼は通常の溶接はもちろんアルミ溶接も得意で、トライアルバイクのフレームをアルミで作成してしまうほどの腕前の持ち主。

 以前は長野市内でバイクショップを営んでいたが、今は豊田村の閑静な山の中に仕事と生活の拠点を移動。そこでバイクの修理・製作はもとより、自転車のフレーム作成から農薬散布用ラジコンヘリの開発までクリエイティブな活動をされている。

 今回のようなリヤキャリア作成にも快く応じてくれるので、これからツーリングバイクを作りたい人は是非相談してみよう。どんな注文にも対応してくれる頼もしい味方だ。連絡先はこちら

 ちなみに今回作成してもらったアルミボックス用リヤキャリア及びアルミ製アンダーガード兼ツールボックスはフレーム補強込みで合計約15万円。


 メカニック T氏

 ラリーにメカニック及びライダーとして参戦していたT氏から、フレーム補強についてアドバイスを受けた。長年ラリーマシンに関わっていた経験豊富な彼からは実際の補強プランを提案していただいた上、作業経過を何度も見に行ってくださったりして大変お世話になった。
 今回のフレーム補強に関してコメントをいただいたので紹介します。

 

 今回のフレーム補強は、強度を上げながらも「しなり」を考慮した造りに重きを置きました。スズキのフレームはそれぼど硬い材質ではない為、だた硬く造り局部に応力をかけると折れると考えたからです。
 メインフレームとキャリヤが一体にしなる方向で考え、ガゼットを入れるにしても最低限の大きさ、最低限の溶接面積を求め、過剛性であればフレームに力が行かず溶接個所が剥がれる様造りました。
 また、取り外す事の出来る補強材は、必要無ければ旅の最中に外す事も可能です、色々な場面で各種テストが出来れば良いのですが、この辺が私の限界でした。
 今回の製作者のユタカ氏は、私の思いをとても良く理解して下さり、私の考えた物以上の車両が出来たと思っています。
 しかし完全な物は有りません、我々が考え及ばない所でトラブルも出る事でしょう、異国でのトラブルは苦しみでも有りますが、考え方一つで楽しみにもなりえると思います。
 我々の及ばなかった所を二人で補って頂き、良い旅をしてきてください。

 


 中井さん夫婦

nakaifuufu2.jpg (85833 バイト) 海外ツーリングの先輩で、夫婦で五年間かけて世界一周した中井さんからはアルミボックスの選定とドアヒンジを使用した取り付け方法、アンダーガード兼ツールボックスの装備など具体的なアドバイスをいただいた。

 中井さん夫婦に最初に会ったのは僕が中南米縦横断ツーリングの途上、場所はボリビアのラパスでのことである。二台のXLR-BAJAで旅をしていたのだが、28Lのファラオタンクと、両サイドにアルミボックスを装備したスタイリッシュなマシンが印象に残る。

 彼らの旅もこれまた洗練されていて、珍しいルートやあまり知られていない穴場的な見所を繋いで地球を縦横無尽に走り回っていた。

 マシン作製以外にも、アフリカツーリングの話を聞かせてくれたり、上手な夫婦旅の方法などを教えてくれたり、いつも親切にしてもらっている。


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