ルート概要 |
モロッコ/モーリタニア国境から、ヌアディブ経由ヌアクショットの間約550km。行程のほとんどは「道」なんて呼べるものは無く、砂漠の中をピストが四方八方に延びているだけ。通常はガイドを付け複数の車両で行動するのが一般的だけど、ガイド無しで走るにはGPS必須。GPSのウェイポイント(座標)は国立公園の入場券を買うときにもらう冊子の最後のページ.に載っています。
但し、ヌアディブを出たすぐ先から国立公園入り口付近までの約150kmはウェイポイントの座標が載っていないのでガイド無しだと迷うかも。実際僕たちも迷ってしまい、遠回りした上、ピストを見失ったまま50kmもさまよってしまいました。しかも深い砂場やガレ場、砂丘の連続する場所が出てくるのでスタックの連続、距離が稼げません。
最初のウェイポイントさえ確認できれば、あとはその先々のウェイポイント目指してひたすらアクセルを開けるのみ。まさに砂の海の航海といった感じでした。
飲料水や簡単な食料は、海岸沿いにある小さな漁村で買えます。但し、メジャーピスト上にある村は「Ten-Alloul」と「Mamghar」程度なので、冬季でも水を常時5リッターくらい、食料は三日分くらい携帯すべきでしょうか。
Ten-Alloulの先は大きなピストが二股に分かれており、自分たちは内陸側のルートを走りました。赤い砂丘群を次々と越え、やっとの思いで海岸へ出ます。轍に沿って道なりに進むと漁村"Mamghar"へ。ここから南は海岸沿いの砂浜を走ります。
この砂浜、満潮の時は砂がふかふかの砂丘ぎりぎりまで波が来るので引き潮の時を狙って突破すると走りやすい。(潮汐表は国立公園の冊子についています)
砂浜を約50km行ったところの漁村(N19°01'50.4" W016°13'50.7")から内陸へ入り、あとは道なりにコルゲーションだらけのダートロードを100kmほど走ればやがて道は舗装に。ヌアクショットの町が見える頃は心底ホッとすることでしょう。
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国境越え(モロッコ→モーリタニア) |
モロッコ側最後のガソリンスタンド(#ガソリンの項参照)から約80km(ダクラからは約360km)でモロッコ国境。イミグレ・税関ともに問題なし。
モロッコ→モーリタニア国境付近は地雷が多いため、国境施設の裏手でキャンプしている旅行者が多い。ここでキャンプして翌日モーリタニア国境に入ることを告げると、出国スタンプを翌朝押してくれます。飲料水も手に入りました。
この先5kmで舗装が切れ、本格的な砂漠ルートに。ピストを走って10km先のモーリタニア側国境ではイミグレで5ユーロ、カスタムで10ユーロ(カルネを使わない場合)徴収されます。
更に7kmほど行くと、ピストは左へそれ、(間違って真っ直ぐ行くとドツボにはまるので注意)N21°13'01.6" W016°57'24.9"付近(PK46の標識あり)で線路を跨ぎます。すると幅の広い工事中の道が線路と平行しているので、右へ40km走ればヌアディブに着。
以前あったダクラ〜モーリタニア国境のコンボイは数年前から廃止になり、全行程単独行動できるようになりました。
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ガイド付き? 単独? |
通常バイク旅行者はガイドや四輪数台と一緒にキャラバンを組んで越えているようです。この場合荷物も予備ガソリンもすべて車に積んでもらえるため走るのが楽。ガイドがいれば道に迷う心配もありません。
しかしガイドを一人雇うと片道約200ユーロかかるそうで、それを台数で割りかんしているみたいです。その上、走るペースも四輪に合わせなければならないので砂漠走行が苦手な人は大変かも。
特に商売で車の陸送しているグループは最短距離を急いで抜けてしまうため、かなりのハイペースを強いられます。日没後の走行や早朝出発は当たり前、500kmを一泊二日くらいの日程で走るため、止まって写真を撮る余裕もないそうな。
あと、グループにトラックや2WDがいる場合、スタックの脱出を手伝わざるをえなくなったり、スタックを避けるためノンストップでアクセル全開100km/h巡航され、あわや置き去りにされそうになったという話も聞きました。
なので、キャラバンに参加する場合、観光で来ている4WDのグループに混ぜてもらうのを勧めます。運良くそんなグループに混ぜてもらえば、ガイドも景観の良いルートをアレンジしてくれ、ゆっくりペースで景色を楽しみながら走れるかもしれません。
キャラバンの仲間はダクラやヌアディブのキャンプ場で探すことが可能。ヌアディブにはキャンプ場が数軒あるので見つからないときはよそのキャンプ場も探してみましょう。
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ガソリン |
ダクラ(Dakhla)から半島を40km戻ったジャンクション付近にガソリンスタンドがあり、そこから南へ240km行ったところにモロッコ側最後のガソリンスタンドがあります。
2004年1月現在のガソリン価格はDH4.9(約0.46ユーロ) 普通はここでガソリンを満タンにする人が多いと思いますが、モーリタニア国境からヌアジブへの道は数十キロ砂の深いピストが続くので、あまりバイクを重くするときついかも。ちなみにヌアディブのガソリン価格はUM140(約0.4ユーロ)でした。
サハラ越えルートのヌアディブ→ヌアクショット間の500kmはガソリンが手に入らないため予備タンク必要。(軽油なら途中の漁村で買える) 僕の場合はヌアディブ・ABBAキャンプ場近くの商店(掘っ建て小屋が並んでいるところ)で中古のポリタンを買ったのですが、どれも中が汚れていたり、キャップにパッキンがついてなかったりと、なかなか良いものがありませんでした。新品のポリタンや、まして金属製のジェリカンなんて期待できません。やはりこういったものはヨーロッパで用意してくるべきかも。スペインなら20リッターの鉄製ジェリカンが約30ユーロくらいで買えます。
ルート上は砂が積もってふかふかになった箇所や、砂丘の連続するところが次々と出てくるため燃費が極端に悪化。タイヤ一回転しても5センチしか進まないような深い砂地もあってガソリンを極端に消費します。普段24〜28km/L走るDR650SEでもサハラ越えの平均燃費は約15km/L、ジェベル250XCは約16km/Lでした。
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書類関係・通貨の両替 |
モーリタニアビザはスペインのマドリードまたはモロッコのカサブランカで取得可。
マドリードでビザ(一ヶ月シングル)を取得する場合、顔写真二枚、費用53.50ユーロ、日本大使館のレターが必要。レターは基本的に翌日発行ですが、頼めば即日発行も可。ビザは2〜3営業日で出来上がります。
在マドリード・モーリタニア領事館
C/Velazques 90 3階 (地下鉄駅 Nunes de Balboa)
在マドリード・日本領事館
C/Serrano 109 (地下鉄駅 Rep. Argentina)
双方の領事館は歩いて20分くらいの距離。
モロッコのカサブランカ(Rout Del Jadila 382)N33°33'49.1''
W007°38'44.8''で取得する場合、写真2枚、パスポートのコピー必要。(日本大使館のレターは不要) 午前中申請で当日発給。費用はマドリードで取得するよりもかなり安いのですが、VISAの開始日は当日からになってしまうそうです。
モーリタニアの保険はヌアディブで買うことができます。(4日間有効のもので一人UG3095)町や村の入り口にある検問でチェックされることがあるので忘れずに入っておく。
サハラ越えルートはアルガン礁国立公園内を通るため、予めヌアディブで入園チケットを買っておく必要あり。但し、内陸側を通れば国立公園事務所を避けられるためチケット不要。料金は一人一日UM1200。もし買わずに入ろうとすると、国立公園手前で追い返されてしまったり、Mamghar(ヌアクショット手前170kmの漁村)にある国立公園管理事務所で50ドル相当の罰金を果たせられることがあるそうです。僕たちもMamgharでチケットを提示させられました。
通貨の両替は、町の両替所で交換する場合どこで換えても公定レート(1ユーロ=UM300 2004年1月現在)だけど、ブラックマーケット(ストリートチェンジャー)では1ユーロ=UM340〜UM380くらいで交換できます。ヌアディブのキャンプ場"ABBA"でもユーロ、ディルハムともに良いレートで両替が可。但し、検問や出国時の税関対策のため少額を公共両替所で交換し、レシートをもらっておくとよいそうです。
ちなみに、モーリタニア国内は首都ヌアクショットでさえもATMが入っていません。
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キャンプ場 |
・ダクラのキャンプ場
"Camping Touristique Moussafia" (N23°45'49.5" W015°54'28.0")
町の四キロ手前。インターネットは町にあり。
キャンプDh20/pp、部屋Dh30/pp、ホットシャワーDh10
・ヌアディブのキャンプ場
"Camping ABBA" (N20°54'51.2" W017°03'17.9")
キャンプUM1000/pp 部屋もあったが料金は未確認。
インターネットはメインストリート上、DHLの隣にあり。
・サハラ越えルート上のキャンプ場
国立公園運営のシンプルなキャンプ場が、漁村近くに数カ所あるが、二人用常設テント一張りUM3000と高い。水は無いが村の掘っ建て小屋でミネラルウォーターが買える。キャンプ場の位置は国立公園の冊子を参照。
・ヌアクショットのキャンプ場
"Camping Auberge Nomades" (N18°05'20.5" W015°58'42.2")
キャンプUM1000/pp 部屋UM4000/一部屋
敷地が狭いので建物の屋上にテントを張った。町の中心部に位置し、付近に安くて旨いレストランやインターネットカフェも多い。各国大使館も徒歩圏内。
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地図・ガイドブック |
地図はミシェランの"741"「West
Africa」とアルガン礁国立公園の冊子、ガイドブックは「SAHARA
OVERLAND」、「Lonely Planet "AFRICA"」を使用。
「SAHARA OVERLAND」にはこのルートの他にもサハラ砂漠各地のルート情報が載っているので、サハラを縦横無尽に走り回りたい人には大変役に立ちます。但しこの本に載っているルートの中にはかなり難易度の高い道が含まれているので計画は慎重に。
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